声帯が痩せる?
2025.01.15

体重が減ったら、なんだか歌いにくくなった、という話を時々耳にします。
体重が減ることと、歌いにくくなる(声を出しづらくなる)ことの関係性はあるのかどうか、
皆さんは、どう思われますか?
まずは、体重が減ったら声帯は痩せるのか?について、
通常のダイエットにとどまらないような病的な体重減少の場合、
声帯も痩せることはあるようですが、健康的な体重減少での声帯の変化は、
医学的に相関性はまだ証明されていないようですよ。
(文献検索を続け、関連情報を見つけたらお知らせさせていただきますね。)
ただ、
老化による変化として、声帯が痩せていく方はいらっしゃいます。
65歳を過ぎた方々に見受けられる傾向です。
その変化が急激であると、発声の調整がうまくいかず、
喋り声にも影響が出て受診されるケースがあります。
また、生まれつきの個性として、声帯の厚みが薄い方がいらっしゃいます。
声帯の厚みが薄いと、声を出そうとしたときに両側の声帯がビタリと閉じません。
間隙から常に空気が漏れるので、音としてはハスキー気味になります。
人によっては、大きな声が出しづらい・・
バリバリ充実した音が出したいのに・・
というお悩みにつながることもありますが、
この声の色のパレットがあるからこその表現力を強みに、
声のお仕事をされている方々も少なくありません。
(歌のジャンルによっては、羨ましがられる楽器ですネ。)
が、職種によっては大変困ることもありますよね。
その場合、声帯を太らせることってできるの・・?
無理な要望に思えるかもしれませんが、答えはYesです。
現在では、2種類の方法が確立しています。
これは治療の領域なので、ご受診の上、院長にご相談くださいね。
さて、体重が減ると歌いにくい、という訴えについて。
まずは、上記のことから、老化以外で声帯自体が痩せてしまう、
ということは考えにくいようですよ。・・すると他の理由ですよね。
よくお聞きするのは、
「支えがなくなってしまったような・・」感覚、筋力の低下が疑われることが少なくありません。
もちろん、そういう方もいらっしゃるのかもしれませんが、
それよりも考えられるのは、声の操作・響きに関わる部位の形の変化かと思います。
また、痩せてしまった理由に”ストレス”があったとすると、
そのことによって、舌のポジションも自然に変わってしまう傾向があります。
大変シンプルな話ではありますが、これに気づくだけでも良い方向に変化が生まれます。
さて、先程お伝えした声帯の薄いタイプを、私たちは「溝症」と表現します。
これも声帯のどの部位が薄い(溝)なのかによって、声の個性やお悩みは異なります。
そのため、診察レベルで、立体的に声帯を捉えられる診療設備と、
医師の目・経験値が重要になることも知っていただきたい点なのですが、
Akasaka Voice Lab.の範疇である「治療的発声調整」の中での最近の驚きは、
この溝症の方でも発声方法によっては、
ハスキーではない純度の高い響きの声色を出すことができるケースがあることです!
(言葉で説明しようとすると分かりづらいですね・・・)
とっても精密に、適当な按配で声帯の閉鎖を調整し、
横隔膜や体の操作との関連・タイミングを量れると、
声帯が薄い方でも、美しいPPが実現できるようになることを目の当たりにしました。
もちろんその方の努力と歌唱操作に関するセンスが素晴らしいからですが、
これは発声の基礎に基づいた先のことですから、誰でも習得すればできる、再現性のあるもの。
こうした経験から、溝症の方々には、
治療的なアプローチと発声調整からのアプローチをお勧めするこの頃です。
その発見と興奮を共有できる方々が身近にいることにも、感動と感謝の日々です。